誰でも手軽に高品質な画像が生成できる画像生成AIツールが急速に普及しています。広告バナーやWebサイトのビジュアル素材など、ビジネス活用の幅も広がっています。本記事では、7つの主要画像生成AI(Adobe Firefly、Canva、Stable Diffusion、Microsoft Designer、Bing Image Creator、Grok 2、ImageFX) を徹底比較。「画像生成AIはどんなもの? 何ができる?」という基礎から、各ツールの特徴、選び方のポイントまで、初心者にもわかりやすく、それぞれの特徴や選び方を解説します。
Adobe Firefly
Adobe Fireflyは、ビジネス用途にも人気の高い画像生成AIツール です。Photoshop や Illustrator とのシームレスな連携が特長で、Adobe製品ユーザーにとって非常に使いやすい環境が整っています。ブラウザ版も提供されており、プロンプト設定やスタイル調整機能が充実。広告バナー や SNS投稿、プレゼン資料など、幅広いビジネスシーンに対応可能です。商用利用時には一部素材に条件がありますが、Creative Cloud の有料プランユーザーであれば、生成クレジットは無償付与ですが超過分は有料。無料トライアル(7日間)も用意されています。

Canva
Canvaは、画像生成AI機能を搭載したオンラインデザインツール です。テンプレート数が豊富 で、直感的な操作性 が特長。デザイン初心者でもすぐに SNS投稿用ビジュアルやプレゼン資料の素材が作成可能です。プロンプトの詳細な調整機能はやや限定的ですが、スピーディーに使いたい場面には最適。無料プランでも試用可能で、高度なエクスポートやチーム機能は Pro プラン(月約12ドル)で利用できます。ビジネスの現場でも幅広く活用されているツールのひとつです。

Stable Diffusion
Stable Diffusionは、オープンソースの画像生成AIモデル です。セルフホスト環境で完全無料利用も可能で、Hugging Face や DreamStudio などの Webインターフェース経由でも利用可能。高度なカスタマイズ性 が大きな魅力で、学習済みモデルの切り替えや LoRA/Hypernetworkの活用により独自スタイルを作成できます。プロンプトの自由度も非常に高く、クリエイティブな用途に適しています。技術的な知識はやや求められますが、商用利用のライセンスは比較的緩やかで、ビジネスでも柔軟に活用可能な点が強みです。

Microsoft Designer
Microsoft Designerは、Microsoft 365 ユーザー向け の画像生成AI機能 を備えたデザイン支援ツールです。PowerPoint や Word などと共通のインターフェースで操作でき、短いテキストからアイキャッチ画像やカバー素材を自動生成できます。複雑な設定は不要で、Microsoft 製品間の連携を活かしたワークフローが特長。無料で利用可能ですが、Microsoft アカウント登録が必要で、一部の高度な機能は Microsoft 365 ライセンス契約者向けとなっています。商用利用には制限があるため注意が必要です。(本記事内でも別途注記)。
Bing Image Creator
Bing Image Creatorは、OpenAI の DALL·E 技術を活用したMicrosoft 提供の画像生成AIサービスです。Edge ブラウザや Bing 検索バーから直接アクセスでき、シンプルなプロンプト入力 だけで高品質な画像が生成できます。操作が非常に簡単なため、初心者にも使いやすいのが特長。ビジネス用途でも短時間で素材作成が可能ですが、詳細なパラメータ調整やカスタマイズ性は限定的です。無料で利用可能ですが、商用利用時は Microsoft の利用規約を確認することを推奨します。

Grok 2
Grok 2は、xAI 独自モデル。対話形式でプロンプト調整ができるため、アイデア出しやラフスケッチ作成に適しています。細かなビジュアル調整はやや不得意ですが、発想支援やイメージ共有には有効なツールです。
※Grok 2は現在、X(旧Twitter)内で提供されているAIチャットサービスで、画像生成機能は主にX内での利用を想定したものです。生成画像は技術的にはダウンロード可能ですが、利用規約では公開前提、API によって変動、詳細未確定となっています。そのため本記事では、他サービスとの比較用画像は掲載しておりません。
ImageFX
ImageFXは、スケーラブルな画像生成AIプラットフォームです。API経由でさまざまなアプリケーションやシステムに組み込み、バッチ処理や自動化ワークフローの構築に強みがあります。ビジネス用途やエンタープライズ向けの大規模な画像生成ニーズに適しています。(但し、正式公開 API は未発表、非公式・β API は存在) 現在はラボ実験版で無料。

比較ポイント解説
使いやすさ
ツールの操作感や学習コストを指します。直感的なUI、テンプレートの充実度、初期設定のしやすさなどがここに含まれます。はじめてAI画像生成に触れる方でも迷わず使えるか、企業のデザイナー経験者がすぐに業務に取り入れられるかを基準に評価します。
カスタマイズ性
プロンプト(テキスト指示)の詳細設定や、スタイル・フィルターの調整幅を測ります。色調や構図の微調整、独自モデルの読み込み可否、LoRAやプラグインを使った拡張などが該当。表現の自由度が高いほど、個性的なクリエイティブ制作に向いています。
出力品質
生成される画像の解像度、ディテールの精細さ、人や物の写実性などを評価。ノイズの少なさやアーティスティックなタッチの再現性、複雑なシーン(背景+人物構図など)の描写力もポイントです。最終的な用途(印刷物/Web掲載など)に耐えうるクオリティかを確認します。
価格プラン
無料枠の有無、有料プランの月額・年額費用、トークン制や従量課金の仕組みを比較。無料でもどこまで試せるか、商用利用に必要なプランやライセンス料はどれくらいかを把握し、予算に合わせた選択のヒントとします。
連携・エコシステム
他のクリエイティブツールやワークフローとの統合度合いを評価。PhotoshopやIllustrator、Canvaのデザイン機能、Microsoft 365アプリ、API連携など、既存環境での活用のしやすさがここに含まれます。チーム開発や自動化ワークフローを組む際の利便性もポイントです。
商用利用可否
生成画像の著作権・ライセンス条件、素材利用時の制限を比較します。クレジットの表記要否、商標やロゴ生成の可否、モデルの学習データに由来する権利問題など、企業で安心して使えるかどうかを確認するための重要な視点です。
サービス別比較表
サービス | 使いやすさ | カスタマイズ性 | 出力品質 | 価格プラン | 連携・エコシステム | 商用利用可否 |
---|---|---|---|---|---|---|
Adobe Firefly | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 無料プラン+Creative Cloud内含有料プラン | Photoshop/Illustrator連携 | 商用可(素材条件あり) |
Canva | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | 無料プラン+Pro(1,500円/月) | Canva全体ツールスイート | 商用可(Pro推奨) |
Stable Diffusion | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | オープンソース/セルフホスト費用のみ | 多数のGUIフロントエンド | 商用可(モデル次第) |
Microsoft Designer | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | 無料(Microsoft 365加入者向け拡張機能) | 365ツール群(PowerPoint等) | 規約で個人利用限定、商用不可 |
Bing Image Creator | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | 無料(Microsoftアカウント必須) | Edge/Bing検索連動 | 商用可(マイクロソフト規約) |
Grok 2 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ChatGPT Plus(GPT-4 Turbo搭載) | ChatGPT内統合 | 商用可(OpenAIライセンス) |
ImageFX | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | (現在公式料金プランは未公表。報道や第三者 API が$12/月等の例あり) | 専用API/一部デザインツール連携 | 商用可(API利用条件あり) |
★☆☆☆☆:低い ★★☆☆☆:やや低い ★★★☆☆:中 ★★★★☆:やや高い ★★★★★:高
画像生成AI 比較に使用したプロンプト例
本記事で掲載している画像比較は、各サービスの特徴や仕上がりの違いがわかるよう、同一の共通プロンプトを使用して生成しています。
使用したプロンプト例
Japanese businesswoman working on a laptop, bright modern corporate office, natural lighting, photo-realistic, three-quarter view, no animals.
*日本人の女性ビジネスパーソンが明るいモダンなオフィスでノートPCを使って作業している。自然光の入る環境で、フォトリアルな質感。斜め前方からの構図。動物は含まない。
※プロンプトは、日本語入力に対応しているサービスもありますが、対応していないサービスもあるため、本記事では英語入力のプロンプトで画像生成を行いました。日本語入力で思うような画像生成ができなかった場合でも、英語入力に変更することで上手く生成できる場合があります。なお、Stable Diffusionは、使用するオープンソースの環境によっては日本語入力に対応していないことがあります。
※各サービスによりプロンプト入力形式や細かな文法が異なるため、最適な形に調整のうえ生成しています。
※Microsoft Designer については商用利用不可のため画像掲載は行っていません(本文にて特徴を紹介しています)
※Grok 2は現在、X(旧Twitter)内での提供に限定されており、生成画像の商用利用や外部掲載に制約があるため、比較用画像は掲載していません(本文にて特徴をご紹介しています)。
選び方ガイド:こんな人にはこのサービス!
サービス | こんな人におすすめ |
---|---|
Adobe Firefly | プロのクリエイター、Photoshop/Illustratorを日常的に使う人 |
Canva | デザイン初心者、豊富なテンプレートで素早くビジュアルを作りたい人 |
Stable Diffusion | 技術的に踏み込んだカスタマイズや自ホスト運用を重視する人 |
Microsoft Designer | Microsoft 365を活用中で、資料作成に手軽に画像生成を組み込みたい人 |
Bing Image Creator | ブラウザ上で手早くAI画像を試したいWebユーザー |
Grok 2 | ChatGPTと対話しながらアイデア出しを行いたい人 |
ImageFX | API連携や自動化ワークフローで大量生成・社内システム統合したい開発者・企業 |
記事内の情報は2025/6/5現在のものです。
まとめ
本記事では、画像生成AI 7サービス(Adobe Firefly、Canva、Stable Diffusion、Microsoft Designer、Bing Image Creator、Grok 2、ImageFX) を、使いやすさ/カスタマイズ性/出力品質/価格プラン/連携・エコシステム/商用利用可否の6つの視点で比較しました。
それぞれの特長を活かすことで、ビジネス用途に最適な画像生成AIツール選びが可能になります。
- スピード重視なら → Canva/Microsoft Designer/Bing Image Creator
- 高度なカスタマイズや独自運用なら → Stable Diffusion/ImageFX
- プロフェッショナルな制作環境なら → Adobe Firefly
- アイデア出しや発想支援なら → Grok 2
まずは無料プランやトライアルを活用し、自社の制作フローに合うサービスを試してみましょう。
また、生成AIを業務に本格導入したい方は、実務に役立つ学習を進めるのがおすすめです。アガルートの「生成AIコース」では、現役エンジニアの添削付きで実践力を養成でき、AIを使いこなせるスキルが効率よく身につきます。需要が高まる今こそ、ビジネスの現場で活かせるAIスキル習得に一歩踏み出してみてください。
画像生成AIに関するよくある質問(FAQ)
Q1:画像生成AIは商用利用しても大丈夫ですか?
A:サービスによって利用条件が異なります。Adobe FireflyやCanva Proなどは商用利用可能ですが、Microsoft Designerは制限があるため注意が必要です。本記事でも各サービスごとの商用利用可否を比較していますので、選定時の参考にしてください。
Q2:画像生成AIのプロンプトはどうやって作れば良いですか?
A:まずは簡単な説明文をそのまま入力してみるのがよいでしょう。たとえば「オフィスで会議をするチーム」や「未来的なテクノロジー背景」など、イメージを具体的に言葉にすることがコツです。本記事でも使用したプロンプト例をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Q3:無料で使える画像生成AIサービスはありますか?
A:はい、Bing Image CreatorやCanvaの無料プランなど、無料で試せるサービスもあります。ただし、機能や画像解像度、商用利用可否に差があるため、用途に合わせて選ぶのがおすすめです。詳しくは本記事内の比較表をご覧ください。
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