DX推進やスキルアップのために、G検定やDS検定といったAI関連の資格を取得する方が増えています。しかし「G検定とDS検定って何が違うの?」「どちらが自分に向いているのかよくわからない」という方も多いでしょう。
そこで、この記事ではG検定とDS検定の違いについて解説します。各試験の難易度やそれぞれの検定に向いている人の特徴も紹介するので、どちらを受けるべきか迷っている方は最後までご覧ください。
G検定とDS検定について

G検定とDS検定の違いを理解するために、まずは各試験の概要を押さえておきましょう。
- G検定とは
- DS検定とは
G検定とは
G検定(ジェネラリスト検定)は、ディープラーニングを中心としたAIの基礎知識を問う資格試験です。AIの歴史や機械学習の仕組み、ビジネス活用事例などを体系的に学べる内容になっています。
近年、業務でAIに関わる機会が増えたことから、基礎知識の習得に適した資格としてG検定が注目されています。G検定の詳細を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:G検定とは | 試験概要やおすすめの勉強方法を解説
DS検定とは
DS検定(データサイエンティスト検定)は、データサイエンティストに必要なスキルを評価する資格試験です。統計やAIに関する知識だけでなく、現場でデータをどう読み解き、どう活用するかという視点が重視されるのが特徴です。
業種や職種を問わずデータを扱うスキルが求められるようになっているため、実務に必要な知識を習得しようとDS検定に関心を持つ人が増えています。DS検定に興味がある方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
関連記事:データサイエンティスト検定(DS検定)とは?難易度・学習方法を解説
G検定とDS検定の違い

G検定公式サイトおよびDS検定公式サイトの情報をもとに、それぞれの検定の違いについて解説します。なお、これから紹介する内容は、2025年5月22日現在の情報に基づいています。
- 主催
- 目的
- 出題範囲
- 試験形式
- 試験時間
- 開催時期
- 受験費用
- 難易度
主催
G検定は「一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)」が主催する試験です。この団体はディープラーニングの普及と人材育成を目的として設立され、産業界や学術界の専門家が集まり、AI技術を広めていくための活動を行っています。
一方、DS検定は「一般社団法人データサイエンティスト協会」が主催する試験です。この団体では、比較的新しい職業であるデータサイエンティストに必要なスキルを定義し、人材育成や普及啓蒙活動を行っています。
目的
G検定の目的は、AIやディープラーニングについて体系的に学び、業務で正しく活用できる人材を育てることです。「現在の業務をどう改善できるのか」「AIを活用するためには何をすべきか」を理解できるようになることで、ビジネスやキャリアを広げる一歩になると考えられています。
一方、DS検定の目的は、データを使って課題を発見・解決できる人材を育成することです。必要な能力を試験で可視化することで、データサイエンティストを目指す人と人材を必要とする産業界をつなぐ仕組みを整えています。
出題範囲
G検定では、AIの基礎知識を広く押さえることに重点が置かれています。具体的には、AIの歴史や基本的な概念、ディープラーニングの仕組みなどが出題されます。
一方、DS検定はデータサイエンスの実践力に直結する内容が出題されるのが特徴です。統計学の基礎やデータの前処理、可視化手法など、分析プロセス全体に関わる知識が求められます。
試験形式
G検定はオンラインで実施されているため、自宅や職場など、インターネット環境があればどこからでも受験できます。一方、DS検定はCBT(Computer Based Testing)方式を採用しており、全国のテストセンターで実施されています。
それぞれにメリットがありますが、G検定は受験の自由度が高い反面、自ら集中できる環境を整える必要があります。DS検定は会場で受ける形式のため、安定した試験環境のもとで実力を発揮しやすいといえるでしょう。
試験時間
G検定の試験時間は120分で、時間内に160問程度の問題を解く必要があります。一方、DS検定の試験時間は100分で、問題数は100問です。
そのため、G検定の方が1問にかける時間が少なく、より判断力が必要となる試験といえるでしょう。試験はどちらも選択式で、知識の正確さや理解の深さが問われる内容となっています。
開催時期
G検定は年に複数回実施されており、2025年は1月・3月・5月・7月・9月・11月に実施されます。試験日はあらかじめ決まっていますが、会場に行く必要がない分、予定に合わせて準備しやすいのが特徴です。
DS検定は年に2〜3回実施されており、2025年は3月・6月・11月に予定されています。各回には3週間程度の試験期間が設けられているため、受験者は自身の都合に合わせて受験日時と会場を選択することが可能です。
受験費用
G検定の受験費用は、一般受験者で13,200円(税込)、学生の場合は5,500円(税込)となっています。一方、DS検定の受験費用は一般が11,000円(税込)、学生が5,500円(税込)です。
ただし、滋賀大学や中央大学など、一般社団法人データサイエンティスト協会が設けている「大学会員」に該当する学生は4,400円(税込)で受験できます。DS検定は受験料がやや低めに設定されていますが、試験は全国のテストセンターで実施されるため、交通費や宿泊費が別途かかる可能性があります。
難易度
この2つの資格を比較すると、DS検定の方が難易度が高いです。G検定はAIに関する基礎的な内容が問われるのに対し、DS検定では統計学や数学といった専門知識が必要になります。
合格率にも違いがあり、G検定が約70%であるのに対し、DS検定は約50%とやや低めです。合格に必要な勉強時間も、G検定が50時間程度、DS検定が200時間程度と大きく異なります。
それぞれの難易度について詳しく知りたい場合は、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:【2025年版】G検定が難しいって本当?難易度が高い理由や合格するポイントを解説!
関連記事:データサイエンティスト検定(DS検定)の難易度は?他資格との違いや勉強方法も解説
G検定の取得が向いている人

次のような方には、G検定の取得がおすすめです。
- AI導入を検討している経営者
- DX推進を担う管理職
- 新規事業を立ち上げる担当者
AI導入を検討している経営者
経営者の立場でAI導入を考える際、最も重要なのは「何ができるか」と「何ができないか」を正確に理解することです。G検定を受験すると、AIの得意分野と限界を把握できるため、自社のビジネスにどう活用できるかを現実的に判断できるようになります。
たとえば、画像認識や自然言語処理などの基本を押さえておくことで、自社の課題解決に必要なAI技術をスムーズに見極められるでしょう。さらに、G検定でAIに関する専門用語を学んでおくと、取引先や販売業者からの提案内容も正確に評価できるようになります。
DX推進を担う管理職
DX推進を担当する管理職には、経営の方向性を理解したうえで、現場の業務をどう変革すべきか判断する力が不可欠です。G検定を通じてAIの基礎を体系的に学んでおくと、エンジニアが使う用語や考え方が理解しやすくなり、現場と円滑にやり取りできるようになります。
さらに、チームメンバーに対してAI活用の意義を伝える場面でも、G検定で学んだ知識は役立ちます。たとえば、AIの仕組みをかみ砕いて説明できるようになれば、現場の理解を得やすくなり、プロジェクトの足並みも揃いやすくなるでしょう。
新規事業を立ち上げる担当者
新規事業の担当者にとって大切なのは、市場のニーズを見極め、それに応える革新的な解決策を導き出す力です。G検定ではAIの応用事例や最新動向を幅広く学べるため、新たなビジネスチャンスを発見するヒントとなります。
さらに、AIを取り入れた事業計画を経営層に説明する場面でも、G検定で得た知識が役立ちます。専門的な視点を交えて説得力のあるプレゼンテーションができれば、提案の妥当性が伝わりやすくなり、予算獲得や社内調整の後押しにもなるでしょう。
DS検定の取得が向いている人

DS検定の取得が向いているのは、以下のような方です。
- データ分析に携わるエンジニア
- 自己流で分析しているアナリスト
- データサイエンティストを目指す学生
データ分析に携わるエンジニア
Pythonなどのプログラミングスキルは持っていても、統計学や機械学習の基本的な理論を体系的に学ぶ機会がなかったという方も少なくありません。DS検定を通じて、これまで感覚的に進めていた作業に理論的な裏付けを持たせることで、分析の再現性や説得力を高められます。
また、エンジニアは単に分析を行うだけでなく、分析結果を非エンジニアのメンバーや関係部門に伝える場面もあります。その際、知識が整理されていれば、専門用語に頼らず要点を的確に伝えられるため、提案の説得力も一段と増すでしょう。
自己流で分析しているアナリスト
自己流で分析を行っている場合、特定の手法に偏りがちであったり、統計学的な裏付けが不十分だったりすることがあります。たとえば「相関関係と因果関係の違い」や「適切なサンプルサイズの決め方」といった基本的な内容でも、正確に理解していないまま分析を進めているケースは少なくありません。
DS検定の学習を通じて、こうした基礎知識を固めることで、分析の精度と信頼性が大きく向上します。
さらに、DS検定ではビジネス力も問われます。「この分析結果は営業戦略にどう活かせるか」「顧客データからどのような商品開発が考えられるか」といった視点で考える習慣が身につくため、経営層からも頼られるアナリストになれるでしょう。
データサイエンティストを目指す学生
就職活動で「データサイエンスに興味があります」と言うだけでは、他の学生との差別化が難しい時代になっています。DS検定を取得すれば、データサイエンスに対する本気度と基礎知識を客観的に証明できるため、採用担当者に強い印象を与えられます。
また、大学・高専の授業では、統計学やプログラミングなどの個別の科目は学べても、それらを組み合わせてデータサイエンスとして活用する方法まで学ぶ機会は多くありません。そのため、DS検定を取得することで、授業で学んだ知識がどう連携し、実務で活かされるのかを理解できるようになります。
G検定とDS検定に関するよくある質問

資格取得を考えている方は、よくある質問も確認しておきましょう。
- 両方取る意味はある?
- どちらから取得すべき?
- おすすめの勉強方法は?
両方取る意味はある?
必ずしも両方の資格を取得する必要はありません。ただ、それぞれ異なるスキルを扱っているため、両方を学ぶことでAIとデータサイエンスの理解をより深められます。
また、試験内容が一部重複しているため、一方の資格を取得していれば、もう一方の試験も効率よく合格できるというメリットがあります。
どちらから取得すべき?
どちらの資格から取得すべきかは、これまでの経験やキャリアの方向性によって変わります。ただし、迷っている場合はG検定から取得するのがおすすめです。
DS検定は数学や統計学といった専門知識が必要になりますが、G検定はこれからAIを学ぶ人でも取り組みやすい内容になっています。また、G検定でAIの基本用語や概念を学んでからDS検定に進むことで、統計的な分析手法やデータの活用方法も理解しやすくなります。
おすすめの勉強方法は?
短期間で合格したい場合は、試験対策講座を受講するのがおすすめです。専門家による解説と問題演習を通じて、重要なポイントや出題傾向を効率よく把握できます。
たとえば、アガルートの「G検定対策講座」では、約9.5時間で試験範囲を網羅できるカリキュラムが用意されており、出題されやすい箇所を重点的に学べます。また「DS検定対策講座」では、公式テキストでは触れられていない部分も丁寧に解説されているため、数学に苦手意識がある方でもスムーズに理解することが可能です。
どちらも講師や有資格者に質問できる「オンライン質問サービスKIKERUKUN」が搭載されているので、独学に不安がある方はぜひ活用してみてください。
まとめ
この記事では、G検定とDS検定の違いや、それぞれの試験に向いている人の特徴について解説しました。G検定はAI全般の知識を、DS検定はデータサイエンスの実務寄りの知識を問うため、目的に応じて選択することが大切です。
また、業務内容やキャリアプランと照らし合わせて資格を選択することで、学んだ知識を実務に活かしやすくなります。そのため、AIやデータ分析に関心がある方は、この記事を参考にしながら自分に合った試験を検討してみてください。
G検定やDS検定に挑戦するなら、専用の対策講座を活用するのがおすすめです。たとえば、アガルートの「G検定対策講座」では、約9.5時間で試験範囲を網羅できるカリキュラムが組まれているため、忙しい方でも着実に学習を進められます。「DS検定対策講座」では、独自に作成した総仕上げ問題が用意されており、効率よく出題傾向を把握できます。どちらも合格すると全額返金される特典があるので、受験を考えている方はぜひ活用してみてください。