データサイエンティストに必要な数学知識は?どの程度求められるのか

データサイエンティストとして活躍するためには、数学の知識を深めることが重要です。しかし「どの程度の数学知識を身につければいいかわからない」「数学が苦手だからデータサイエンティストになれるか不安」と悩んでいる方も多いでしょう。

そこで、この記事ではデータサイエンティストに求められる数学知識とそのレベルについて解説します。数学を学ぶべき理由や数学の勉強方法も紹介するので、データサイエンティストに興味がある方は最後までご覧ください。

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データサイエンティストに数学知識が必要な理由3選

データサイエンティストが数学知識を持つことは、データ解析やモデル構築において重要です。その具体的な理由は以下の3つです。

  • 数学知識が機械学習モデルに不可欠だから
  • 統計学の知識がデータ分析に不可欠だから
  • 最適化がビジネス課題の解決に不可欠だから

数学知識が機械学習モデルに不可欠だから

機械学習を扱うためには、データを解析して予測モデルを構築するための数学的な手法が必要です。たとえば、アルゴリズムのパラメータを最適化するためには数理統計や確率論の知識が不可欠です。また、微積分を用いることで勾配降下法などの最適化手法を理解し、モデルの精度を向上させることができます。そのため、機械学習の基礎となる数学を学ぶことは重要です。

統計学の知識がデータ分析に不可欠だから

データ分析を行うためには、統計学の知識が不可欠です。データの特性を理解し、適切な統計モデルを選択して予測を行うためには、統計学の基本が必要です。たとえば、異なるデータセットに対して適切な推定方法を選ぶことで、より正確な分析結果を導き出せます。また、データの分布や変動を正確に評価することで、リスクを把握しやすくなります。そのため、データ分析の精度を上げるためにも統計学を学んでおくことが重要です。

最適化がビジネス課題の解決に不可欠だから

ビジネスの問題を解決するためには、効率的なリソース配分やコスト削減、収益最大化などの最適化手法が必要です。たとえば、物流管理では最適な在庫を維持するために数理最適化の技術が用いられます。また、予算配分やマーケティング戦略を最適化するためには数学的モデリングが必須です。自社や顧客のビジネス課題を解決するために、最適化に関する数学的知識を学んでおくことが大切です。

データサイエンティストに求められる数学知識8選

データサイエンティストに求められる数学知識は、以下の8つです。

  • 微分積分
  • 線形代数
  • 統計学
  • 確率統計
  • 数理最適化
  • フーリエ解析
  • ベイズ統計
  • ラプラス変換

微分積分

機械学習のアルゴリズムを理解するためには、微分積分の知識が不可欠です。微分積分を使うことでモデルの損失関数の挙動を数学的に表現し、最適化手法を用いて予測精度を向上させられます。たとえば、本来の正解と人工知能が出した答えの差分「損失関数」を最小化するためには、微分積分を応用して作られた勾配降下法という手法が用いられます。また、モデルのパラメータを最適化するためには微分積分の知識が必要になるため、高度な問題を解決するためには微分積分を学んでおくことが重要です。

線形代数

データサイエンスを行うためには、線形代数の知識も必要です。線形代数は高次元データセットの操作や変換、特徴量抽出に役立ちます。たとえば、画像や信号処理を行うためには、行列やベクトルといった線形代数の知識を使ってデータを表現・処理します。主成分分析(PCA)や特異値分解(SVD)など、多くの機械学習アルゴリズムが線形代数の概念を利用しています。複雑なデータ分析を行うためには線形代数の知識が不可欠です。

統計学

統計学はデータから有意義な情報を抽出し、意思決定を支援するために不可欠です。たとえば、市場調査データから顧客の購買行動のパターンを分析する際に、統計手法が用いられます。また、統計学を使うことで、データの傾向や変動を正確に評価することも可能です。そのため、データを正しく解釈して適切な予測を行うためには、統計学を学んでおく必要があります。

確率統計

データサイエンティストは統計学だけでなく、確率統計の知識も必要です。確率統計はランダムな事象の分析と予測に必要な数学知識です。たとえば、市場調査データから消費者行動の傾向を予測する場合、確率統計を用いることで予測の精度を高めることが可能です。「統計学」ではデータを収集・分析することで一般的なパターンや傾向を見つけ出しますが、「確率統計」では個々の事象が起こる確率を重視し、未来の出来事を予測することに特化しています。そのため、変動するデータに対して柔軟に対応できる予測を導き出すことが可能です。

数理最適化

データサイエンティストは膨大な選択肢の中から最適な解を見つけ出す必要があるため、最適化技術の習得が欠かせません。たとえば、物流会社が配送ルートを決定する際、数理最適化を用いて効率の良い配送ルートを決定することで、配送にかかる時間とコストを節約できます。また、リソースの割り当てを最適化することで、会社の生産性を向上させることが可能です。そのため、企業の課題を効率的に解決して業務効率や生産性を向上させるためにも、数理最適化のスキルを身につけておくことが重要です。

フーリエ解析

フーリエ解析を用いることで、時系列データの特性を把握することが可能です。データサイエンスにおいては、特に音声や信号のデータを解析する際に、フーリエ変換が用いられます。たとえば、音声認識システムで音声の波形を解析する場合、フーリエ変換を行うことで異なる音声パターンを識別可能です。また、周期的なパターンを抽出することで、予測モデルの精度を高められます。そのため、データから有用な情報を引き出すためにも、フーリエ解析の知識を習得しておく必要があります。

ベイズ統計

ベイズ統計は既存の情報(事前確率)に新しいデータを組み合わせることで、より精密な事後確率を推定するために用いられます。たとえば、製品の不良率を予測する場合、初期のテスト結果を用いて事前確率を設定し、実際の生産データを取り入れることで不良品の正確な推定が可能です。また、新しいデータが入手されるたびに予測を更新することで、モデルの適応性と精度を高められます。そのため、不確実性を管理してより正確な予測を行うために必要なベイズ統計を学んでおくことが大切です。

ラプラス変換

ラプラス変換は時間を表す数式を周波数を用いて表す方法で、複雑な微分方程式をシンプルな数式に変換するために用いられます。ラプラス変換を用いることで制御システムや信号処理の計算を簡素化し、スムーズにデータ分析を行うことが可能です。

たとえば、電気回路の振動解析を行う場合、時間領域の方程式をラプラス変換を用いて周波数領域に変換することで、解析が単純化され、直感的に理解できます。また、ラプラス変換を使うと時間の経過とともに変化する現象(非定常過程)の計算が効率的に行えるため、複雑な問題も簡単に解析することが可能です。そのため、データ分析を効率よく行うためにもラプラス変換を学んでおく必要があります。ただし、データサイエンティストを目指す上で、上述した他の7つの数学知識に比べて、ラプラス変換は主に信号処理や制御理論で使われることが多く、データサイエンスの分野ではそれほど頻繁に使用されないため、重要性は低いです。

データサイエンティストに必要な数学知識のレベル

データサイエンティストに必要な数学知識のレベルは、以下の通りです。

  • ツールを使用するなら「高校数学レベル」
  • データ分析をするなら「大学数学レベル」
  • 統計モデルを開発するなら「大学院数学レベル」

ツールを使用するなら「高校数学レベル」

データサイエンティストで活用されるツールの多くは、高度な数学知識を必要としません。たとえば、高校数学で習う座標やベクトルの知識を活用すれば、単純なデータの可視化や基本的な統計計算が行えます。

データ分析をするなら「大学数学レベル」

本格的なデータ分析を行う場合は、大学数学レベルの知識が不可欠です。複雑なパターンを解析するためには、微分積分や線形代数などの数学知識が必要になります。たとえば、機械学習アルゴリズムには確率論や統計学が深く関わっているため、大学数学レベルの知識を持っていないと理解できません。

統計モデルを開発するなら「大学院数学レベル」

統計モデルを開発する際は、大学院数学レベルの高度な数学知識が必要です。統計モデルや機械学習アルゴリズムの開発には、広範囲にわたる数理統計学や最適化技術の知識が関わってきます。たとえば、予測モデリングや因果関係の分析を行う際は、高度な確率論や統計的推測法が必要になります。そのため、自社に最適な統計モデルの開発をしたいと思っている方は、大学院レベルの数学知識を身につけておきましょう。

数学が苦手な人がデータサイエンティストになる方法

数学が苦手な人がデータサイエンティストになる場合は、以下の3点を意識して勉強することが重要です。

  • 勉強の目的を明確にする
  • 初心者向けの本で勉強する
  • 実際にコードを書いてみる

勉強の目的を明確にする

数学が苦手な方は、まず勉強する目的を明確にしましょう。たとえば、マーケティングに関するデータ分析を行いたい場合は、顧客の購買データを分析する際に使われる手法「回帰分析」に関する微分積分や線形代数を学ぶ必要があります。データ分析を学ぶ目的を明確にすることで勉強範囲が絞られ、効率的に知識を習得できます

初心者向けの本で勉強する

数学に自信がない場合は、初心者向けの本で勉強をするのがおすすめです。初心者向けの教材は難しい概念を簡単な言葉で解説しているため、専門知識がない方でも数学や機械学習について理解できます。高度なデータ分析を行うためにも数学の基礎知識が必要になるため、まずは初心者向けの本で基礎を固めてみましょう。

参考:【2024年最新版】データサイエンス・データ分析のオススメ本 15選

実際にコードを書いてみる

学んだ数学の知識を使って実際にコードを書いてみることで、効果的にスキルを習得できます。たとえば、データを操作して統計値を計算するプログラムを書くことで、数式だけでなく、その数式がデータにどのように作用するかを直感的に学べます

参考:データサイエンティストに必要なスキルや資質とは?スキルチェックリストも紹介!

参考:【初心者向け】独学でデータサイエンティストになるには? 勉強時間や0からのロードマップについて解説!

データサイエンティストに必要な数学以外の知識

データサイエンティストになるためには、以下のような数学以外の知識も求められます。

  • プログラミングスキル
  • データ分析ソフトの知識
  • 機械学習の知識
  • ビジネススキル
  • マネジメントスキル

プログラミングスキル

データ解析やアルゴリズムの実装をする際に、プログラミングスキルが必要になります。たとえば、データの前処理や解析結果を可視化する際に、PythonやRなどの言語でプログラムを書く必要があります。また、効率的にデータ処理できるプログラムを書くことで、より正確かつ迅速に問題解決することが可能です。

データ分析ソフトの知識

データサイエンティストの業務を効率化するためには、データ分析ソフトの知識が不可欠です。データ分析ソフトを活用することで、大量のデータを迅速に処理し、効果的な洞察を得られます。たとえば、Excelや統計解析ソフト「SAS」を利用することで、データの集計や可視化がスムーズに行えます。プロジェクトの要件に応じて最適なツールが異なるため、さまざまなデータ分析ソフトの知識を習得することが重要です。

機械学習の知識

データサイエンティストとして活躍するためには、機械学習の知識が不可欠です。機械学習はデータからパターンを学習し、予測や分類を行うために用いられます。たとえば、顧客の購買行動を分析して未来のトレンドを予測することで、自社のマーケティング戦略に活かすことが可能です。また、機械学習を理解することで複雑なデータを分析できるため、予測の精度を高められます。

ビジネススキル

データサイエンティストは単にデータを分析するだけでなく、分析結果をビジネスの意思決定に活かすことが求められます。具体的には、市場分析や顧客分析を基に新ビジネスを提案したり、リスク回避策を策定したりします。その際、経営陣に対して説得力のある提案を行う必要があるため、営業力やプレゼンテーションスキルを身につけておくことが重要です。

マネジメントスキル

プロジェクトの管理やメンバーの指導を行うためには、優れたマネジメントスキルが求められます。たとえば、プロジェクトの期限内に高品質のデータ解析を完成させるためには、適切なリソース配分や時間管理が不可欠です。そのため、管理職や経営者として活躍したいと考えている方は、マネジメントスキルも身につけておきましょう。

まとめ

この記事では、データサイエンティストに必要な数学知識とそのレベルについて解説しました。数学が苦手な方でも基礎から着実に勉強を進めることで、データサイエンティストに必要な数学知識を身につけることが可能です。また、数学以外で得意な分野を見つけることで、データサイエンティストとしてさらに活躍できます。そのため、データサイエンティストになりたい方は勉強すべきスキルを明確にして、着実に学習を進めていきましょう。

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